GBLのパーティ類型を完全整理
用語としてのパーティ整理
GBL界隈で定着しているパーティの用語には、バランスパーティやギミックパーティ、XABパーティ、結論パーティ、テンプレパーティなど、様々なパーティ名が存在しているが、
体系的に分類された用語ではないため、コンセプトを正しく汲み取れなかったり、齟齬の生じる原因となっている。
前提を揃える意味でも、先ずは、界隈で使用されている“用語としてのパーティ”を整理したいと思う。
| 初手 | 裏 | 種類 | |
| A | B | X | バランスパーティ |
| X | A | B | ギミック潰しパーティ |
| A | B | B | ギミックパーティ |
| A | A | B | 欠陥パーティ |
| A | A | A | 一貫パーティ |
| B | B | B | |
| X | X | X | |
上記の表が、構造としてのパーティの全容である。
上記の表にはない、例えば、「結論パーティ(結論パ)」や「テンプレパーティ(テンプレパ)」などと言った呼称は、
パーティの“構造”を表したパーティの分類ではなく、“環境”に基づくパーティの“地位”を指した呼称のため、
分析の軸が異なっており、同列に扱うのは適切とは言えない。
下記が、“環境軸パーティ”と、“構造軸パーティ”の関係性をまとめた表となる。
| パーティの軸 | 環境軸パーティ | 構造軸パーティ |
| 代表例 | 結論パ、テンプレパ等 | バランスパ、ギミックパ等 |
| 分類の軸 | 環境的(メタ・地位) | 構造的(戦術・役割) |
| 焦点 | 「環境の中で何が強いか」 | 「パーティの構造、役割」 |
| 遷移性 | 環境変化とともに消滅・更新 | 構成理論として恒常的 |
| 比喩 | パーティの“答え” | パーティの“方程式” |
このページでは、構成理論として恒常的に通用する、パーティの構造に軸をおいた視点で考察していく。
勝てるパーティをGBLのルールから逆算する
| 大分類 | 初手 | 裏 | 種類 | |
| 中性入りパーティ | A | B | X | バランスパーティ |
| X | A | B | ギミック潰しパーティ | |
| X | X | X | 一貫パーティ | |
| 中性抜きパーティ | A | B | B | ギミックパーティ |
| A | A | B | 欠陥パーティ | |
| A | A | A | 一貫パーティ | |
| B | B | B | ||
GBLで勝てるパーティ類型は、大別すると、たったの“2種類”しか存在しない。
「中性(X)入りパーティ」と「中性(X)抜きパーティ」の2種類だ。
内容に入っていく前に、まず、GBLでのマッチングについて、おさらいすると、
事前に“対戦相手”も、対戦相手の“手札”も分からないまま、
勝手に対戦相手が決まり、自動的に自分のポケモンと相手のポケモンが「3、2、1、GO!」をする。
ある日は、「じゃんけん、ぽん!」で、
| 自分の初手 | お相手の初手 |
![]() | ![]() |
上記のように、絶望的な出し負けスタートから始まる日もあれば、
別の日には、「じゃんけん、ぽん!」で、
| 自分の初手 | お相手の初手 |
![]() | ![]() |
上記のように、圧倒的な出し勝ちスタートから始まる日もある。
このように、GBLでは、試合開始時点で有利、不利がある状態から試合をスタートしなければならないため、
試合で使える3体で、この有利、不利をどうやって覆すかが、パーティ構築の焦点となる。
適当に選んだ3体でもGBLには参加できるが、
“勝てるパーティ”という観点で、GBLのルールから“逆算”すると、ある程度、“パーティの構造”は絞られてくる。
GBLの基本ルール
| 対戦形式 | シングルバトル(1対1の交代制) |
| 使用できるポケモン数 | 3体(事前に選出) |
| リーグ別のCP制限 | リーグ別にCP1500以下、2500以下、無制限 |
| 交代制限 | 交代にはクールタイム(約45秒)がある |
| 通常技 | ゲージを貯めながら攻撃ができる |
| ゲージ技 | ゲージを消費して強力な攻撃ができる (バフ・デバフ効果を持つ技もある) |
| シールド | ゲージ技に対して2回まで使用できる (被ダメージを1に抑える) |
GBLのルール概要は、上記の通りだが、パーティ構築でキーポイントになってくるのが、
1対1の交代制シングルバトルであり、3体を事前に選出し、交代にはクールタイムがあるという点だ。
ポイント
- 1対1の交代制シングルバトル
- 3体を事前に選出
- 交代にはクールタイムがある
つまり、出し負けた場合、即座に交代しても、相手もこちらに有利なポケモンで後追いしてくるため、
交代したのに不利対面が継続し、更に交代後はクールタイムがあってすぐに再交代ができないので、
交代後は確実に不利対面でロックされ、その後も不利対面を合わせられ続けて、ほぼ“負け確”となる。
先ほど、「有利、不利をどうやって覆すかが、パーティ構築の焦点」と述べたが、
厳密には、交代後のクールタイムによる“不利対面でのロック”を、
パーティの構造面から、どのように克服するかが、パーティ構築の焦点となる。
勝てるパーティは、相性補完に優れている
| 分類 | 初手 | 裏 | 種類 | |
| 中性入りパーティ | A | B | X | バランスパーティ |
| 補完関係 | 中性 | |||
| X | A | B | ギミック潰しパーティ | |
| 中性 | 補完関係 | |||
| 中性抜きパーティ | A | B | B | ギミックパーティ |
| Bと補完関係 | 役割重複 | |||
| A | A | B | 欠陥パーティ | |
| 役割重複 | Aと補完関係 | |||
前述の通り、パーティ構築の焦点は、出し負けた際の不利対面ロックを、どう克服するかだが、
そもそも、出し勝った際に勝てなければ、元も子もない。
つまり、パーティ構築には、大前提が存在し、それが、
“勝てるパーティ”は、必ず、“相性補完”がとれている。という点だ。
複合タイプや、技のタイプも絡んでくると、表面的な相性補完は、複雑になる場合もあるため、
人によっては、“役割補完”と言った方がしっくりくるかもしれないが、本質的には同じことである。
つまり、ポケモンはどこまでいっても、“タイプゲー”の“相性ゲー”の“じゃんけんゲー”でしかない。
とりあえず、出し勝った際に、相性補完のとれたパーティなら、相手がどんなポケモンに交代してきても、安全に有利なポケモンで後追いできると覚えておけば間違いないだろう。
そして、裏を返せば、GBLのようなレート戦で勝ち抜くには、「AAA」や「BBB」のような“補完無視パーティ”は、絶対に通用しないという事も意味している。
役割の視覚化について
ここで、Aとか、Bとか、この記号の意味が分からない諸賢もいるかもしれないため、念のため、説明しておくと、
例えば、「ABB」
| 初手 | 裏 | |
![]() | ![]() | ![]() |
| A | B | B |
| AとBで相性補完がとれている | ||
| 防御時のタイプ相性 | ||||||||||||||||||
| ノ | 炎 | 水 | 電 | 草 | 氷 | 格 | 毒 | 地 | 超 | 虫 | 岩 | 霊 | 竜 | 悪 | 鋼 | 妖 | ||
![]() | 強 | 弱 | 強 | 弱 | 強 | 弱 | 強 | 強 | 強 | 強 | 強 | 強 | ||||||
![]() | 弱 | 強 | 強 | 強 | 弱 | 強 | 弱 | 弱 | 強 | |||||||||
![]() | 弱 | 強 | 強 | 強 | 弱 | 弱 | 強 | 弱 | 弱 | |||||||||
弱(約2.56倍)、弱(1.6倍)、強(約0.625倍)、強(約0.39倍)、強(約0.244倍) | ||||||||||||||||||
上記の例で説明すると、Aをトリデプスとした場合、BはウツボットやチェリムPになり、A(鋼)とB(草)で相性補完がとれていることを表している。
要するに、GBLに出場できるパーティ(3体)を、役割ごとにアルファベットで、Aとか、Bといった具合に並べ、
そのパーティがどのような“役割の組み合わせ”で組まれているかを“視覚化”したものである。
一貫パーティについて
Aとか、Bが、役割を視覚化したものだと説明したが、
何も考えずに、好きなポケモンを適当に3体並べてパーティを作った後、冷静にこのポケモンの役割が何なのかを整理した結果、
3体とも役割が重複しているケースがある。
例えば、
| 初手 | 裏 | |
![]() | ![]() | ![]() |
| A | A | A |
| 防御時のタイプ相性 | ||||||||||||||||||
| ノ | 炎 | 水 | 電 | 草 | 氷 | 格 | 毒 | 地 | 超 | 虫 | 岩 | 霊 | 竜 | 悪 | 鋼 | 妖 | ||
![]() | 強 | 弱 | 強 | 弱 | 強 | 弱 | 強 | 強 | 強 | 強 | 強 | 強 | ||||||
![]() | 強 | 弱 | 弱 | 強 | 弱 | 強 | 弱 | 強 | 強 | 強 | 強 | 強 | 強 | 強 | ||||
![]() | 強 | 弱 | 強 | 強 | 弱 | 強 | 弱 | 強 | 強 | 強 | 強 | 強 | 強 | 強 | ||||
弱(約2.56倍)、弱(1.6倍)、強(約0.625倍)、強(約0.39倍)、強(約0.244倍) | ||||||||||||||||||
上記の「トリデプス・Gマッギョ・レジスチル」(AAA)パーティだと、かくとうやじめん入りのパーティとマッチングしたら一巻の終わりである。
或いは、
| 初手 | 裏 | |
![]() | ![]() | ![]() |
| B | B | B |
| 防御時のタイプ相性 | ||||||||||||||||||
| ノ | 炎 | 水 | 電 | 草 | 氷 | 格 | 毒 | 地 | 超 | 虫 | 岩 | 霊 | 竜 | 悪 | 鋼 | 妖 | ||
![]() | 弱 | 強 | 強 | 強 | 弱 | 強 | 弱 | 弱 | 強 | |||||||||
![]() | 弱 | 強 | 強 | 強 | 弱 | 強 | 弱 | 弱 | 強 | |||||||||
![]() | 弱 | 強 | 強 | 強 | 弱 | 弱 | 強 | 弱 | 弱 | |||||||||
弱(約2.56倍)、弱(1.6倍)、強(約0.625倍)、強(約0.39倍)、強(約0.244倍) | ||||||||||||||||||
上記の「フシギバナ・ウツボット・チェリムP」(BBB)パーティだと、ほのおやこおり、入りのパーティとマッチングしたら一巻の終わりである。
このように具体例が出れば、「AAA」や「BBB」が、かなり弱そうなパーティだと肌感覚でも実感できるかと思うが、
こういった役割が3体とも重複した“補完無視パーティ”は、
苦手な相手(天敵)と遭遇すると、リカバリーする役割が他に誰もいないため、その天敵1体にパーティを壊滅させられてしまう恐れがある。
天敵1体に一貫を作られているパーティのため、所謂、“一貫パーティ”とも呼ばれる。
少なくとも、相性補完を無視した、「AAA」や「BBB」でレート戦を勝ち抜くことが、いかに無謀な行為かは想像に難くないだろう。

「AAA」などの一貫パーティを使ってしまうと、天敵入りのパーティとマッチングした際に、多くの場合、
天敵1体に徹底的に蹂躙され、屈辱的な一敗を喫することとなる。
GBLを嫌厭するきっかけにもなり兼ねないため、安易に一貫パーティは使用しないように。
出し負けに抗う「X」と「ギミック」
| 大分類 | 初手 | 裏 | 種類 | |
| 中性入りパーティ | A | B | X | バランスパーティ |
| X | A | B | ギミック潰しパーティ | |
| 中性抜きパーティ | A | B | B | ギミックパーティ |
| A | A | B | 欠陥パーティ | |
AとBについての説明が済んだので、ここで、第3の役割、Xについても説明しておきたい。
GBLで“勝てるパーティ”の大前提が、AとBの相性補完パーティなのは前述の通りだが、
そこに、AともBとも役割の異なる、第3のポジションとして追加されたのが、X(中性)であり、
GBLで勝ち抜けるパーティ類型は、
相性補完パーティに、このXを組み込んだ「中性(X)入りパーティ」か、
Xは組み込まず、相性補完のみで組まれた「中性(X)抜きパーティ」かの2種類に大別できる。
中性(X)とは?
歴代のX(一例)
- ブラッキー
- Dデオキシス
- ヤミラミ
- ベロリンガ
- カイリュー
- ノコッチ
そもそも、Xの中性的な役割とは、パーティの中で、Aとも、Bとも、弱点が被っておらず、役割対象も異なる“ニュートラルな存在”だった事に由来する。
そして、Xの中性という役割は、環境に大きく依存し、シーズンの切り替えと共に、Xも激しく変遷 していく事が多い。
具体的には、出し負け時の“クッション役”や、
初手でシールドを2枚使ってでも強引に対面をとる役割など、
いずれも、“対面操作”が、Xの主要任務となる。
出し負けを覆す仕掛け
前述の通り、ポケモンは“タイプゲー”の“相性ゲー”の“じゃんけんゲー”のため、
出し勝ちスタートさえ出来れば、特にGBLの場合、交代後に拘束時間が設けられているため、そのまま、綺麗に後追いして有利対面を維持するだけで、楽勝できる。
しかし、実戦のGBLでは、必ず“出し負け”が存在するため、
この不条理に抗うために人類は、“X(中性枠)”と“ギミック”を発明した。
Xは、AともBとも弱点が被らず、環境的に後追いしづらいポケモンを採用するため、出し負け時のクッション役として、シールドアドや“対面返し”を狙える。
一方、ギミックは役割を重複させた囮を差し出し、相手が有利対面の維持に努める立ち回りを逆手に取って、“ラス1勝負(ラスト1匹勝負)”へ持ち込む“構造的罠”だ。
いずれの仕掛けも狙いは同じで、初手で不利を引いても、交代後のXや囮を駆使して、有利対面を“作り直す”ことにある。
「X入りパーティ」か、「X抜きパーティ」かで、GBLで勝ち抜けるパーティ類型は2種類に大別できるが、
どちらも大前提は“相性補完パーティ”であり、いかにして、“有利対面”を維持するかが、このゲームの“必勝法”だと理解できたと思う。
A、B、Xの役割まとめ
| 記号 | 特徴 | 役割 | 関係性 |
| A | Bの天敵(苦手な相手)に対して圧倒的に強い | Bの天敵を排除する | 補完関係 |
| B | Aの天敵(苦手な相手)に対して圧倒的に強い | Aの天敵を排除する | |
| X | 環境的に、圧倒的に有利な相手も少ないが、圧倒的に不利な相手も少ない | 対面操作 | 中性的 |
役割を視覚化したものに過ぎない
因みにA、B、Xで表記するパーティは、パーティを“分類”したものではなく、
そのパーティがどういう役割構成なのか、直感的に理解し易いように、あくまで“役割を視覚化”したものに過ぎない。
例えば、
| 初手 | 裏 | |
![]() | ![]() | ![]() |
| A | X | B |
| X | A | B |
| A | B | B |
| 防御時のタイプ相性 | ||||||||||||||||||
| ノ | 炎 | 水 | 電 | 草 | 氷 | 格 | 毒 | 地 | 超 | 虫 | 岩 | 霊 | 竜 | 悪 | 鋼 | 妖 | ||
![]() | 強 | 弱 | 強 | 強 | 弱 | 強 | 弱 | 強 | 強 | 強 | 強 | 強 | 強 | 強 | ||||
![]() | 強 | 強 | 弱 | 弱 | 強 | 強 | 弱 | 強 | 強 | 強 | ||||||||
![]() | 強 | 強 | 強 | 弱 | 強 | 強 | 強 | 弱 | 弱 | 弱 | ||||||||
弱(約2.56倍)、弱(1.6倍)、強(約0.625倍)、強(約0.39倍)、強(約0.244倍) | ||||||||||||||||||
元祖テンプレパと名高い「レジ・マリ・チル」パーティ。
このパーティは、レジスチルとチルタリスの「レジ・チル」並びに着目すると、「レジ・チル」並びが綺麗な補完関係にあり、引き先として優秀なマリルリをクッション役のXと見立てれば、典型的なバランスパーティ(ABX)と解釈できる。
今度は、マリルリとチルタリスの「マリ・チル」並びに着目すれば、「マリ・チル」並びが綺麗な補完関係にあり、当時の環境下で対面性能の高かったレジスチルをXとして初手配置すれば、典型的なギミック潰しパーティ(XAB)と解釈できる。
初手のレジスチルに着目すると、レジスチルの苦手な炎や格闘に対してマリルリもチルタリスも強いため、マリルリとチルタリスの役割が重複したギミックパーティ(ABB)としての側面もある。
何が言いたいかというと、
あるパーティに対して、
「このパーティは絶対に『ABX』なのに『AAB』判定とか素人かよw」とか、
「いやいやこのパーティは『AAB』確定でしょ!?『XAB』判定なんてありえない!」といった、
まるで答えは一つであるかのように解釈する姿勢は、単なる独りよがりでしかないということだ。
なぜなら「ABX式のパーティ名」は、便宜上、“役割を視覚化”したものに過ぎず、パーティを“分類”しているわけではないため、
視点を変えれば、いかようにも解釈できて当たり前だからである。
それでは、次のブロックからは、具体的に、パーティの種類の詳細について解説していきたい。
全構造軸パーティ解説
勝てるパーティの種類は4種類?
| 種類 | 初手 | 裏 | 大分類 | |
| バランスパーティ | A | B | X | 中性入りパーティ |
| 補完関係 | 中性 | |||
| ギミック潰しパーティ | X | A | B | |
| 中性 | 補完関係 | |||
| ギミックパーティ | A | B | B | 中性抜きパーティ |
| Bと補完関係 | 役割重複 | |||
| 欠陥パーティ | A | A | B | |
| 役割重複 | Aと補完関係 | |||
バランスパーティ(ABX)
| 初手 | 裏 | |
![]() | ![]() | ![]() |
| A | B | X |
| AとBで相性補完がとれている | 中性 | |
| 防御時のタイプ相性 | ||||||||||||||||||
| ノ | 炎 | 水 | 電 | 草 | 氷 | 格 | 毒 | 地 | 超 | 虫 | 岩 | 霊 | 竜 | 悪 | 鋼 | 妖 | ||
![]() | 強 | 弱 | 弱 | 強 | 強 | 強 | 強 | 強 | 強 | 強 | 強 | 強 | ||||||
![]() | 強 | 強 | 弱 | 強 | 強 | 強 | ||||||||||||
![]() | 強 | 強 | 弱 | 弱 | 弱 | |||||||||||||
弱(約2.56倍)、弱(1.6倍)、強(約0.625倍)、強(約0.39倍)、強(約0.244倍) | ||||||||||||||||||
X(中性)入りのパーティで、最も代表的なのが、バランスパーティ(ABX)である。
バランスパーティ(ABX)のXは、“引き先”として使うのが基本のため、「AXB」と並べ替えた方が、見慣れた形かもしれない。
バランスパーティ(ABX)の立ち回りは、GBLの基礎が凝縮されているため、初心者に最もおすすめできるパーティでもある。
バランスパーティ(ABX)の肝は、初手と引き先のXにあり、
具体的には、起点を作ったら止まらないポケモンを初手に置き、
初手が出し負けたら、Xに交代する。
Xは、耐性や耐久性に優れ、技範囲も広く、そのシーズン、その環境下に於いて、後追いしづらいポケモンが選ばれるため、
交代時に、どんなポケモンで追われても、最低でもシールドアド、場合によっては、対面返しを狙える。
もし、対面を返し、有利対面を作り直すことに成功できれば、一気に形勢逆転となり、勝ちが濃厚となる。
対面を返せなくても、シールドアドや、死に出しで戻した初手が起点を作れるため、
初手同士が再会しても、シールドアドと起点の分だけ、試合開始時点とは状況が変わっているという寸法だ。
とはいえ、理想は、Xでの対面返しのため、バランスパーティ(ABX)の強さは、“Xの性能”で決まるといっても過言ではない。
また、意外な盲点として、パーティの構造で出し負けに対応すると、どうしても出し勝ち時の安定性が犠牲になりがちだが、
バランスパーティ(ABX)は、出し勝った際も安定して立ち回れるため、そういった意味でもバランスがとれているといえる。
ギミック潰しパーティ(XAB)
| 初手 | 裏 | |
![]() | ![]() | ![]() |
| X | A | B |
| 中性 | AとBで相性補完がとれている | |
| 防御時のタイプ相性 | ||||||||||||||||||
| ノ | 炎 | 水 | 電 | 草 | 氷 | 格 | 毒 | 地 | 超 | 虫 | 岩 | 霊 | 竜 | 悪 | 鋼 | 妖 | ||
![]() | 強 | 強 | 強 | 強 | 弱 | |||||||||||||
![]() | 強 | 弱 | 弱 | 強 | 強 | 強 | 強 | 強 | 強 | 強 | 強 | 強 | ||||||
![]() | 強 | 強 | 弱 | 強 | 強 | 強 | ||||||||||||
弱(約2.56倍)、弱(1.6倍)、強(約0.625倍)、強(約0.39倍)、強(約0.244倍) | ||||||||||||||||||
X(中性)入りパーティの、もう一つのパターンが、ギミック潰しパーティ(XAB)である。
Xを、出し負け時の“クッション役”ではなく、“初手に置く”というアイデアが特徴。
Xをクッション役として使うバランスパーティ(ABX)は、後述するギミックパーティ(ABB)が構造的に苦手なため、
その対策としてギミック潰しパーティ(XAB)は誕生した。
ギミックパーティ(ABB)は、初手が消耗すると、裏は弱点被りで一貫してしまうため、初手を温存する立ち回りが基本だが、
ギミック潰しパーティ(XAB)は、“初手を消耗させること”に特化した構造のため、ギミック潰しには打って付けだといえる。
更に、ギミック潰しパーティ(XAB)用のXは、そのシーズン、その環境下で、出し勝ち率が高く、シールドを張れば対面のとれるポケモンが選ばれるため、
対面をとった後は、補完のとれた裏で有利対面を合わせるだけという、楽勝モードが狙えるのも強い。
ただし、出し負けた場合は話が別で、リカバリーに高度な立ち回りを要求するため、ギミック潰しパーティ(XAB)は上級者向けのパーティでもある。
何故なら、裏は補完のとれたポケモンが控えており、普通に引いたら有利対面で後追いされて負け確のため、
出し負けをリカバリーするには、初手で起点を作り、交代受けを決めてXを温存し、起点を作ったXを軸に、サイクル戦で何やかんやする必要があるからだ。
ギミックパーティ(ABB)
| 初手 | 裏 | |
![]() | ![]() | ![]() |
| A | B | B |
| Bと相性補完 | 役割重複(Aと相性補完) | |
| 防御時のタイプ相性 | ||||||||||||||||||
| ノ | 炎 | 水 | 電 | 草 | 氷 | 格 | 毒 | 地 | 超 | 虫 | 岩 | 霊 | 竜 | 悪 | 鋼 | 妖 | ||
![]() | 強 | 弱 | 強 | 弱 | 強 | 弱 | 強 | 強 | 強 | 強 | 強 | 強 | ||||||
![]() | 弱 | 強 | 強 | 強 | 弱 | 強 | 弱 | 弱 | 強 | |||||||||
![]() | 弱 | 強 | 強 | 強 | 弱 | 弱 | 強 | 弱 | 弱 | |||||||||
弱(約2.56倍)、弱(1.6倍)、強(約0.625倍)、強(約0.39倍)、強(約0.244倍) | ||||||||||||||||||
X(中性)抜きパーティの代表格が、ギミックパーティ(ABB)である。
正確にいうと、後述する「AAB」は、実質、X(中性)入りパーティと解釈できるため、
「X(中性)抜きパーティ」=「ギミックパーティ(ABB)」ということになる。
そして、構造的に、出し負け時のリカバリーが“最強”なのも、ギミックパーティ(ABB)である。
初心者が、GBL嫌いになる要因の一つに、出し負け時の屈辱的な蹂躙があるかと思うが、
ギミックパーティ(ABB)は、寧ろ、出し負け“歓迎”のパーティ構造をしているため、
初心者が、出し負けを“捲くる”という成功体験を達成しやすい。
バランスパーティ(ABX)と並んで、ギミックパーティ(ABB)にも、GBLの基礎が凝縮されているため、初心者におすすめしたいパーティである。
ギミックパーティ(ABB)の基本的な立ち回りは、
出し負けたら、役割の重複した裏の1体を“囮”として差し出し、釣られた相手のポケモンを、こちらの初手で排除、ラストの“貫通役”を通すというもの。
具体例として「トリデ・ウツボ・チェリP」パーティで解説すると、
トリデプスが、ラグラージに出し負けた場合、即座にチェリムP(くさ)に引き、相手のである、エアームドなどを釣り出す、
チェリムPは、ウェザーボールを撃てるため、エアームドに圧を与えることもできるが、そのまま倒されてしまっても、初手のトリデプスでエアームド()を起点にできるため、無理に対面を返さなくても問題ない。
そして、エアームド()を失ってしまった相手は、起点を作ったトリデプスと、ウツボット(くさ)を止められないといった展開になりやすい。
ギミックパーティ(ABB)の場合、構造的に“ハメる”ため、お相手視点だと、ギミックパと分かっていたり、たとえ裏のポケモンが分かっていても、対策をしていなければ、成す術なく術中に嵌まってしまうところが非常に強力。
立ち回り(プレイング)よりも、パーティの完成度が勝率に直結するため、初心者がレジェンドを狙えるのも、このギミックパーティ(ABB)となる。
ただし、出し負け時最強の代償に、こちらが出し勝った際に、今度は相手に捲くられやすいというのが、ギミックパーティ(ABB)の宿命となる。
裏の2体が重複している以上、相手の裏が判明するまでは、こちらの初手を温存する必要があり、出し勝ったからといって、安易に初手を消耗してしまうと、裏で貫通される恐れが生じるため、
出し勝ち時は、出し負け時以上に、慎重に立ち回る必要がある。
このように、ギミックパーティ(ABB)は、プレイングよりも、パーティの完成度を追求してきた歴史があるため、
GBL史には、数々の“芸術的”なギミックパーティ(ABB)が開発、生み出され、環境の変遷とともに、更新、淘汰されてきた。
3体のポケモンが織りなす、パズルのピースを埋めるように繊細に配置されたギミックは、“GBL叡智の結集”ともいえる。詳細は関連記事参照。
あわせて読みたい
-
【ポケモンGO】ギミックパーティ構築論(応用講座)
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欠陥パーティ(AAB)
| 初手 | 裏 | |
![]() | ![]() | ![]() |
| A | A | B |
| 役割重複(Bと相性補完) | Aと相性補完 | |
| 初手と裏で弱点被り | ||
| 防御時のタイプ相性 | ||||||||||||||||||
| ノ | 炎 | 水 | 電 | 草 | 氷 | 格 | 毒 | 地 | 超 | 虫 | 岩 | 霊 | 竜 | 悪 | 鋼 | 妖 | ||
![]() | 弱 | 強 | ||||||||||||||||
![]() | 弱 | 強 | ||||||||||||||||
![]() | 強 | 強 | 弱 | 弱 | 弱 | |||||||||||||
弱(約2.56倍)、弱(1.6倍)、強(約0.625倍)、強(約0.39倍)、強(約0.244倍) | ||||||||||||||||||
欠陥パーティ(AAB)は、出し負けて、普通に立ち回ったら、綺麗に後追いされて、普通に負ける。
初手と裏で“弱点被り”があり、出し負けた際、ギミックパーティ(ABB)のように、役割の重複した囮を差し出すことができないのだから、当たり前であろう。
だから、“欠陥パーティ”と呼ばれているのだが、「AAB」には別名が存在する。
その名も、“偽装パーティ”。
出し負けた際に、こちらがギミックパーティを偽装した立ち回りをすることで、相手が“深読み”して、勝手に相手が“自爆”するのを誘うのだが、
当然、相手に深い知識と、高度な立ち回りスキルがないと、深読みして自爆してくれないので、低レート帯では通用しない。
じゃあ、「AABパーティ」は、お相手依存の、弱くて、勝てないパーティなのかというと、そうではない。
狭い環境下や、特定のシーズン下では、初手と裏で弱点が被っているデメリットを許容してでも、そのポケモン達を初手と裏で使った方が、“使い得”というケースがちょくちょく発生するからだ。
例えば、欠陥パーティ(AAB)で取り上げている「ヤルキ・ベロ・クレセ」パーティは、
ヤルキモノとベロリンガが、初手と裏で弱点被りをしているが、そもそもこの2体は、ノーマル単タイプで弱点自体が少なく、
引き先のベロリンガはシンプルに耐久も高くて、技セットも優秀なため、ペラい(耐久の低い)かくとうで追われてもかなり良い仕事をしていた。
つまり、環境的にベロリンガが後追いしづらいXとして機能しており、実は、
「実績のある欠陥パーティ(AAB)」の正体は、「バランスパーティ(ABX)」という典型例だ。
これが、構造的に欠陥があるパーティなのに、AABが強い理由である。
| 初手 | 裏 | |
![]() | ![]() | ![]() |
| A | B | |
| 特定の環境下に於いて「AXB(バランスパ)」として機能 | ||
| 初手 | 裏 | |
![]() | ![]() | ![]() |
| A | B | |
| 特定の環境下に於いて「XAB(ギミック潰しパ)」として機能 | ||

「AAB」は「ABX式パーティ表記」のバグというか、弊害というか、表現の限界のようなものだといえる。
「ABX式パーティ表記」はポケモンの役割を視覚化するのに便利なツールだが、
あるパーティの分析の際、役割としては「ABX」なのに、捉え方によっては「AAB」としても解釈できるため、
「AAB」パーティが“強い”という誤認にもつながっている。
構造としての「AAB」は、GBLのルールでは“弱い”が事実で、
実績のある「AAB」が強いのは、特定の環境下で「ABX(XAB)」として機能できているから“強い”が正しい。
番外編:オール中性パーティ(XXX)
| 初手 | 裏 | |
![]() | ![]() | ![]() |
| X | X | X |
| 防御時のタイプ相性 | ||||||||||||||||||
| ノ | 炎 | 水 | 電 | 草 | 氷 | 格 | 毒 | 地 | 超 | 虫 | 岩 | 霊 | 竜 | 悪 | 鋼 | 妖 | ||
![]() | 強 | 強 | 強 | 強 | 弱 | |||||||||||||
![]() | 強 | 強 | 強 | 強 | 弱 | 弱 | 弱 | |||||||||||
![]() | 強 | 強 | 強 | 弱 | 強 | 強 | 強 | 弱 | 弱 | 弱 | ||||||||
弱(約2.56倍)、弱(1.6倍)、強(約0.625倍)、強(約0.39倍)、強(約0.244倍) | ||||||||||||||||||
シールドアドや、場合によっては、不利対面からの対面返しが狙えるX(中性)の活躍を見ると、
このXを3体並べて「XXX」にするのが最強パーティなのでは?
と、ついつい夢を見てしまう諸賢もいるかもしれないが、現実はそこまで甘くはない。
これまで述べてきた通り、ポケモンは“タイプゲー”の“相性ゲー”の“じゃんけんゲー”であり、AとかBとかXというのは、パーティの役割の組成を視覚化したものに過ぎない。
だから、オール中性パーティ(XXX)は、本質的には、「AAA」や「BBB」と何ら変わらない。
つまり、中性という役割といえど、役割が全て重複している時点で、
“相性補完無視パ”、“役割補完無視パ”だと言わざるを得ない。
「AAA」や「BBB」のような極端なバトル展開にはならずとも、
中性的な「XXX」では、役割的に、圧倒的な有利対面が存在しないため、
シールドアドや起点を作る余裕がなくなり、
実戦では、シールドが足りない、HPが足りない、火力が足りないなど、勝ちまで一歩及ばない欠陥がボロボロ出てきて、レート戦ではとても使えないことが露呈する。
Xが中性枠として強さを発揮できるのは、ABという相性補完による有利対面を合わせた時の、圧倒的なアドバンテージがとれるからに他ならない。
Xの主要任務が“対面操作”という基本に立ち返れば「XXX」のコンセプトが意味不明なのは一目瞭然だろう。
もし、一見すると「XXX」なのに、実績のあるパーティが誕生した場合は、「XXX」だから強いのではなく、
「AAB」の時のように、特定の環境下に於いて「XXX」が、「ABX」や「XAB」、「ABB」として機能できているから強い、が正しい。
構造軸パーティまとめ
| パーティ | ABX | XAB | ABB | AAB |
| 出し負け時 | ○ | △ | ◎ | × |
| 出し勝ち時 | ○ | ◎ | △ | ○ |
| 立ち回り | 普通 | 高度 | 平易 | 高度 |




























































