今回はポケモンGOで、ポケモンの“強さ”を決定している要素の1つである、
“ステータス”について、種族値・個体値・実数値という3種類のパラメータまで分解し、基礎から解説していきたいと思う。
これらのステータスについての基礎知識が理解できれば、ジム戦やレイドバトルで有利な個体厳選や、PvP(対人戦)で強い個体厳選、
また、実際には97.8%の個体でも、実戦では100%個体と強さの変わらない
“実質100%”個体が、見分けられるようになる。
種族値・個体値・実数値
2018年のCP調整
去る2018年11月15日(木)早朝、ポケモンGOにおいて、大きなCP調整が行われた。
ポケモンGOでは、原作の種族値から、独自の変換式を用いてポケモンGO用の種族値を算出しているのだが、2018年に行われたCP調整の実態は、この原作からの種族値変換式にテコ入れが行われた。
種族値
種族値とは、ポケモンの種族固有の能力値のことである。
具体的には、ポケモンの“種族固有”の、
「攻撃値」「防御値」「HP値」である。
例えば、ピカチュウとイーブイでは、ビジュアルが違うことからも分かるように種族が違う。
また、ピカチュウとライチュウでは同じ進化系統で強化のアメも共通だが、種族は異なることになっている。
種族の違いとは、ざっくりと“図鑑No.の違い”という認識で大きな相違はない。
つまり、ピカチュウとライチュウとイーブイでは種族値はすべて異なることになる。
このようにポケモンの種族(図鑑No.)固有の能力値を“種族値”という。
種族値とは
- 種族(図鑑No.)固有の能力値
- 能力値の内訳は、「攻撃値」「防御値」「HP値」
- 種族値は、そのポケモンらしさを決定する、固定された能力値で、値が変化することはない
同じ「図鑑No.」でもリージョンフォームやフォルム違いにより種族値が異なるケースがある。
-
図鑑No.26のライチュウと通称アローラライチュウ(アローラのすがた)は同じ図鑑番号だが、種族値は異なる。
-
図鑑No.386のデオキシスはアタックフォルムとディフェンスフォルムで図鑑番号は同じだが、種族値は異なる。
個体値(IV)
種族値は種族固有の能力だと説明したが、もう少し噛み砕いて表現すると、その種族が有する各能力の最低保証値とも換言できる。
ピカチュウの種族値は攻撃「112」、防御「96」、HP「111」だが、
ピカチュウという種族であれば攻撃値は最低「112」が保証されている。
つまり、ピカチュウという種族の場合、攻撃値が112を下回ることはない。
逆に、ピカチュウという種族の中に、攻撃の才能に恵まれた個体がいた場合、その個体は攻撃値「112」を上回る可能性がある。
このような才能の振れ幅を数値化したものが“個体値”である。
この才能の振れ幅には0~15までの16段階存在し、
ポケモンの“個体固有”の才能、個性を決定付ける要素となっている。
個体値とは
- その個体固有の能力値
- 能力値の内訳は、「攻撃値」「防御値」「HP値」
- 個体値は各能力に対して、0~15までの16段階存在する
- 個体値は、そのポケモンの才能、個性を決定する、種族値に加算される能力値
個体値(IV)の16進数表記
10進数 | ||||||||||||||
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 |
16進数 | ||||||||||||||
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | A | B | C | D | E | F |
個体値には前述のように0~15までの16段階の振れ幅がある。
しかし、個体値は“隠しパラメータ”となっているため、個体値を特定するにはジムリーダーからの評価を参考にしたり、
個体値を調べるアプリやWEBサービスなどを利用する必要がある。
この、一度調べた個体値を、ポケモンの名前欄をリネームしてメモしておくのがガチ勢界隈では、一般的だが、
その時に、10進数でメモをすると、個体値10以上をメモするのに、名前欄のスペースを2文字、消費してしまう。
これを16進数で表記すると、0~15まで全ての個体値を、1文字でメモが可能となる。
名前欄は文字数が有限のため、マニアの多くは個体値を16進数でメモしている。
16進数を用いた命名規則に関しては、下記、関連記事参照
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個体値(IV)の%表記
ポケモンGOには「攻撃」「防御」「HP」の3つの能力値が存在するが、各個体値が、それぞれ最高評価だった場合、合計「+45」能力値が上昇することになる。
ステータス | 個体値(10進数) | 個体値(16進数) |
攻撃 | 15 | F |
防御 | 15 | F |
HP | 15 | F |
この状態(FFF個体)を完全体(100%)とした場合の相対評価として%表記を用いることがある。
例えばFAA個体の場合は能力の上昇値が合計+35のため、
FFF個体(100%)と比較して、77.8%の完成度なんだと、直感的に強さの比較が可能となる。
個体値 | 合計 | %表記 |
FFF | 15+15+15=45 | 45÷45×100=100% |
FAA | 15+10+10=35 | 35÷45×100=77.8% |
実数値(ステータス)
種族値、個体値の基礎知識はあらかた共有できたかと思うが、先程の能力値がそのままバトルで使用されるわけではない。
ポケモンGOでは強化レヴェルと呼ばれる育成要素があり、「ほしのすな」と「ポケモンのアメ」を消費することで、ポケモンレヴェル(PL)を上げることができる。
同じ種族、同じ個体値のポケモンでも強化レヴェル(PL)により、強さが異なるというわけだ。
実際の強さは、実数値で決まる
種族値と個体値をベースに、ポケモンの強化レヴェルに応じて最終的な能力値が決定される。
この強化レヴェルを反映させた最終的な能力値を“実数値”という。
ポケモンGOのゲーム内で目視できる実数値はHPのみで、攻撃と防御の実数値は隠しステータスとなっている。
実際のバトル時にダメージ計算で参照されるのはこの実数値のため、
ポケモンの強さは実数値で決まる。
CPM(Combat Power Multiplier)
強化レヴェルは別名ポケモンレヴェル(PL)とも呼ばれており、
PL1の状態では、その種族本来の能力値を、完全には発揮できておらず、言わば、能力値に大きな制限がかけられている状態だといえる。
ポケモンレヴェル(PL)が上昇する度に、そのポケモンの種族本来の能力値に近づいていく、つまり、能力値にかけられた制限が緩和されていくイメージだと言えるだろう。
PL1のピカチュウよりも、PL40のピカチュウの方が、ピカチュウという種族本来の能力値に近いのはそのためだ。
この強化レヴェルに応じて実数値を決定しているのが、
PLごとに設定されている“CPM(レヴェル乗数)”である。
PL | CPM | 解説 |
1 | 0.094 |
その種族本来の約9.4%の能力しか発揮できない
|
40 | 0.79030001 |
その種族本来の約79%の能力が発揮できる
|
以上のことからも分かるように、PLは最大まで上げた方が、ポケモンは強くなる。
ただし、強化レヴェル後半になるにつれて、費用対効果が低くなるのは否めない。
能力値の上昇量よりも、投下する「ほしのすな」と「ポケモンのアメ」の消費量が目立つようになるからだ。
コスパをとるか、強さへの探求をとるか?
ちなみに筆者的にはコスト度外視でも、“強さへの探求一択”である。
実数値まとめ
実数値まとめ
- 実数値は、実際にバトルで参照される数値
- つまり、ポケモンの強さは、実数値で決まる
- 実数値は、種族値と個体値をベースに、強化レヴェル(PL)に応じて導かれる
- PLによって、固有のCPMが定められている
- ゲーム内で目視できる実数値はHPのみ
- 攻撃と防御の実数値は、隠しステータス
PvP用の「理想個体値」
ジム戦やレイドバトルと異なり、PvPでは、PvP専用の個体値管理が必要になってくる。
所謂、“理想個体値”である。
ポケモンGOでは、万人受けを狙い、シンプルなCPという独自の評価値を採用したが、攻撃に偏重した大味な評価値のため、対人戦での強さとは乖離した数値となっている。
そのため、PvPでは、より実戦に則した評価値である“実数値の積”で強さの比較をするのが一般的。
実数値の積
実数値の積の“生の値”は、そのままでは桁数が大きいため、日本国内では、CPと同規模のスケール迄、スケーリングしたSCPや、
実数値の積の、最大値から最小値までを順位で表したもの、実数値の積の、最大値との割合を%表記で表したものなどがある。
「実数値の積」表現方法の種類
個体値(0EE) | 個体値(0FD) |
実数値の積(生の値) | 実数値の積(生の値) |
1852687 | 1849090 |
実数値の積(%) | 実数値の積(%) |
100% | 99.8% |
SCP | SCP |
1508 | 1506 |
SCP順位 | SCP順位 |
1 | 2 |
実数値の積(生の値)の計算
個体値(0EE)
121.11..×110.05..×139=1852687..
個体値(0FD)
121.11..×110.63..×138=1849090..
実数値の積(%)の計算
個体値(0EE)
1852687..÷1852687..×100=100%
個体値(0FD)
1849090..÷1852687..×100=99.8%
SCPの計算
個体値(0EE)
個体値(0FD)
※SCPはCPと異なりHPの端数を切捨て後に計算している
「実数値の積」表現の種類
- 実数値の積とは、攻撃実数値、防御実数値、HP実数値の乗法結果(生の値は、桁数が大きい)
- 実数値の積の表現の1つに、最大値(理想個体)との割合を%(百分率)で表したものがある
- 実数値の積の表現の1つに、CPと同規模のスケールまでスケーリングしたSCPがあり、日本国内では最も普及している
- 実数値の積の表現の1つに、最大値(理想個体)から最小値までを順位で表したものがある
PvPでは、CP1500以下のスーパーリーグや、CP2500以下のハイパーリーグなど、CPにより、出場制限が存在する。
CP制限のないマスターリーグであれば、ジム戦やレイドバトル同様、個体値100%(FFF)が最強個体だが、
PvPでは、実数値の積の最大になる個体が、理想個体となる。
全ての基準が、実数値の積になるため、混同しないように注意が必要である。
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実質100%ポケモン
ハピナスの事例
まずは上記の画像を見てほしい。
個体値が97.8%のハピナスをPL40まで育てる場合、
- 攻撃欠け(EFF)個体
- 防御欠け(FEF)個体
- HP欠け(FFE)個体
どのパターンの個体を育成すべきであろうか?
これまでの基礎知識を踏まえ、以下、順を追って、詳細に解説していく。
個体値97.8%のハピナスの実数値(PL40)のパターンを列記すると、
攻撃欠け(EFF)個体(PL40) | |
攻撃実数値 | 113.01290143=(129+14)×0.79030001 |
防御実数値 | 145.41520184=(169+15)×0.79030001 |
HP実数値 | 403.84330511=(496+15)×0.79030001 |
防御欠け(FEF)個体(PL40) | |
攻撃実数値 | 113.80320144=(129+15)×0.79030001 |
防御実数値 | 144.62490183=(169+14)×0.79030001 |
HP実数値 | 403.84330511=(496+15)×0.79030001 |
HP欠け(FFE)個体(PL40) | |
攻撃実数値 | 113.80320144=(129+15)×0.79030001 |
防御実数値 | 145.41520184=(169+15)×0.79030001 |
HP実数値 | 403.0530051=(496+14)×0.79030001 |
この実数値がダメージ計算で実際に参照される数値なわけだが、攻撃力と防御力に関しては小数点以下まで含めて計算対象となる。
つまり、個体値が“1”違うだけでも条件によって計算結果が変わる可能性がある。
あらゆる条件下でも、最高のパフォーマンスを得ようとするならば、攻撃個体値と防御個体値は、一切妥協できないことになる。
しかし、HPだけは例外で、小数点以下切り捨てされた値が計算対象となる。
HP欠け個体は実質100%の可能性がある
HP個体値F(15)個体(PL40) | |
HP実数値 | 403. |
HP個体値E(14)個体(PL40) | |
HP実数値 | 403. |
つまり、FFF(100%)の個体とFFE(97.8%)の個体で、小数点以下が切り捨てられ、HP実数値が「403」と、同一になるケースがあるということだ。
これが、”実質100%個体”である
防御欠けハピナス【FEF(97.8%)】の悲劇
ポケモンGOにおいて、攻撃力が最優先ステータスなのは周知の事実であるが、防御力とHPについては、あまり言及されてこなかった。
しかし、実際にはFEFか、FFEかで、はっきりと命運が分かれる。
片や97.8%、片や実質100%。
この差は大きい。なぜなら、PL40まで育成するためには大量の「ほしのすな」と「ポケモンのアメ」を投資する必要があるからだ。
同じ97.8%なら、明らかに実質100%個体へ投資すべきであろう。
実質100%個体が存在する強ポケ(一例)
下記、ポケモン群は、HP欠け個体(FFE)でも、該当PL時に、実質100%が存在する強ポケ。(一例)
PL区分範囲
- 「通常アメ」MAX強化(PL40)
- 「通常アメ」MAX強化+CPブースト(PL41)
- 「アメXL」MAX強化(PL50)
- 「アメXL」MAX強化+CPブースト(PL51)
実質100%(FFE) | |
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実質100%個体が存在しない強ポケ(一例)
下記、ポケモン群は、最高の相棒によるCPブーストを含めた、PL51までのPL範囲内に、
実質100%が存在しない強ポケ。(一例)
つまり、“真の100%”しか、完全体とは呼べない。
- ラッキー
- カイリュー
- メタグロス
- ギャラドス
- カイリキー
- ブラッキー
- エアームド
総括
強さへの探求ということで、PL40が前提となってしまったが、FFE(97.8%)個体でも、ポケモンの種類によっては実質100%として代用可能なのは、手駒を充実させるためには有益な情報であったと思う。
特にFEF個体とFFE個体、両方所持していて、どちらをMAX強化しようか迷っていた場合は、一度計算してみることをオススメする。
ただし、これは今回実施された種族値変換式に基づくもので、今後また計算式が変わった場合、実質100%が実質100%でなくなるリスクはどうしても否めない。
こればかりはスマホゲームの宿命のため、環境に合わせて臨機応変に対応して行く他ない。