2016年 夏、空前の大ヒットを記録した「君の名は。」(興行収入250.3億円)。
今振り返っても、あの夏は色々な意味で“特別”だったのだと思う。
立て続けに『シン・ゴジラ』『君の名は。』がヒットし、それは大きなうねりとなって、映画界を中心軸に日本全体が一つのテーマ(ポスト3.11)に向き合う、そんなある種の“節目”であり、“転換”を迎えた夏であった。
何はともあれ、あの特別な夏を形成した立役者である『君の名は。』―。
何故ここまで多くの人々の心を震わせたのであろうか?
ヒットするには一般的に、大きく“2つの要因”が上手く機能する必要がある。
先ずは作品そのものの“コンテンツクオリティ”。
これが担保されていなくては話にならないが、必ずしも作品のクオリティが高ければ即ヒット、となるわけではない。
例えば、どんな漢も即座に落とせる絶世の美女であっても、人っ子一人いない無人島では宝の持ち腐れなのと一緒で、
どんなに優れた作品でも、多くの人に知ってもらえなければヒットには繋がらない。
この“多くの人に知ってもらう”為の、
もう一つのヒットの要因を担うのが“プロモーション”である。
- コンテンツクオリティ
- プロモーション
今回の記事では「君の名は。」のプロモーションの側面に焦点をあて、
『君の名は。』のヒットに、プロモーションサイドから大きく寄与した“予告編”について徹底考察してみたいと思う。
映画本編については別記事で詳細考察するので、悪しからず。
『君の名は。』予告編の概要
予告編とは?
そもそも予告編とは何か? そう、お目当ての映画を鑑賞しに行った際に毎度、延々と半強制的に見せられる本編上映前の“お預けタイム”である。
要は短時間に編集された“宣伝映像”なのだが、着席後に何十分もお目当ての映画と関係ない宣伝映像を流され、観客側としては「早く本編が見たいのに!」となるわけで、
本編上映前の拘束時間を、“NO MORE 映画泥棒”に因んで“NO MORE 時間泥棒”などと揶揄する事もある。
このような予告編に対して心証を悪くしている読者諸賢もゼロではないであろうが、これは予告編の問題というよりは映画館側の上映スタイルの問題なので、この話はこの辺にしておく。
逆に、本編前の予告編連発を“楽しむ勢”の意見としては
「本編よりも予告編の方が面白い」といった本末転倒とはいえ、予告編も映像作品の一つなのだという気づきや、
予告編をきっかけに、「次に観たい映画と出会えた」といった、
予告編の“核心”に迫る意見もある。
昨今では映画館だけでなくインターネットでも予告編が上映、公開されている為、
映画館へわざわざ足を運ぶ価値のある作品か?
ネット上で事前チェックの試金石として、予告編を利用するケースも出てきている。
かく言う筆者も、SNSで話題沸騰になっていた『君の名は。』を、
“映画館”で鑑賞しようと決意したのは“予告編”が決め手であった。
『君の名は。』の予告編
『君の名は。』の予告編には「予告」と「予告2」の2種類があり、
- 第一弾の「予告」は東宝MOVIEチャンネルにて2016年4月6日に公開
- 第二弾の「予告2」は東宝MOVIEチャンネルにて2016年6月27日に公開
となっている。
この“2種類の予告”の“違い”が大変興味深いため、構造的にブロックで分割し詳細に考察していきたいと思う。
予告編の解説のため、ストーリーの根幹に関わるような重要な“ネタばれ”は極力避けるが、解説の都合上、“掠る”可能性は十分あり得るため、慎重を期す映画鑑賞前の読者諸賢は念の為、事前に視聴しておくことをお勧めする。
動画配信サービスなら、いつでも、どこでも、ストーリーの予習復習ができて便利。
構造から見る『君の名は。』予告編
ログラインについて
まず、前提として『君の名は。』本編には“ログラインA”と“ログラインB”の2本のログラインが存在する。
ログラインとは一行程度まで結晶化されたストーリーの梗概だが、
『君の名は。』のログラインを文章化してしまうと核心に迫るネタバレを含んでしまうため、
ざっくりと、
- ログラインA:コミカルパート
- ログラインB:シリアスパート
と、この記事では定義する。
この作品にとって“ログラインB”は“大どんでん返し”というプロット上、特別な意味を持つため、
このログラインB要素をネタバレせずに“どうプロモーションするか?”が予告編の見どころと言える。
第一弾「予告」3ブロック詳細考察
それでは早速、「君の名は。」予告編の第一弾「予告」の構造を見ていくとしよう。
第一弾の「予告」は大きく3ブロックの構成となっており、
都内と田舎の対比、男女の入れ替わりに焦点をあて、生まれ変わった新海誠監督の“メジャー感”を全面的にアピールした内容となっている。
第1ブロック:幻想的な彗星シーン
冒頭は幻想的な彗星シーンから始まり、
「あの日、星が降った日」
「それはまるで」
「まるで夢の景色のように」
「美しい眺めだった」©2016「君の名は。」製作委員会
というセリフが挿入され、
重要なキーワードである“星の降った日”、“夢”がここでセリフを通して提示される。
初見でこの第1ブロックを見た印象は“幻想的な彗星シーン”というビジュアルと「美しい眺めだった」というセリフから、彗星は天体ショー的な位置付けとして最初は刷り込まれる事となる。
ここまでが、第1ブロック。
第1ブロックでは本作のキーポイントとなる彗星に纏わる情報が提示される。
第2ブロック:瀧と三葉の入れ替わりの日々
第2ブロックでは新海誠監督を始めとする主要スタッフ紹介、神木隆之介氏を始めとする主要キャスト紹介、そして瀧と三葉のキャラクター紹介がメインとなる。
この第一弾の「予告」では主に“ログラインA”(コミカルパート)の雰囲気が存分に伝わる内容となっている。
そして、この第一弾の「予告」の毛色を決定付けているのがこの第2ブロック。
では、内容を見て行こう。
引き戸を引くカットからRADWIMPSの「前前前世 (movie ver.)」が流れ、
『秒速5センチメートル』『言の葉の庭』新海誠監督最新作
というテロップ。
第1弾の「予告」では「君の名は。」の主題歌4曲の内の一つ「前前前世 (movie ver.)」が終始使われている。
「前前前世 (movie ver.)」は主題歌4曲中、最もメジャー感のある万人受けする曲調であり、コミカルパートを象徴する曲でもある為、
それまで作家性が強く、マニア向けと評されていた新海誠監督が、今回の作品はメジャーに向けて一皮剥けたんだ、という決意を、この曲調起用により示唆しているとも言える。
そして、都心シーン(高層ビル群)と田舎シーン(神社の鳥居)が交互に切り替わり、
千年ぶりの彗星の来訪を控えた、日本。
というテロップが挿入され、
先ずは“都心に住む高校生 瀧”という男子高校生のキャラ紹介。
電車の通学シーンからの小洒落たレストランでのバイトシーンを見せつつ
「放課後? わりぃ、俺今日これからバイト」
©2016「君の名は。」製作委員会
というセリフ。
続いて、田舎シーンに切り替わり、“東京に憧れる少女 三葉”という女子高生のキャラ紹介。
「もうこんな田舎やだよぉ こんな人生やだ」
「来世は東京のイケメン男子にしてくださーい!」©2016「君の名は。」製作委員会
というセリフ。
田舎出身者なら三葉の気持ちに感情移入せずにはいられないのだが…。
瀧とは対照的に三葉というキャラクターは、周囲を山に囲まれ閉塞感を感じ、
閉鎖的な田舎で鬱屈した日々を過ごしており、現状に不満を抱いている事がわかる。
再度、都心シーン(高層マンションの一室)に切り替わると、瀧の様子がどことなくおかしい。
そして、都心と田舎、瀧と三葉のカットが数回切り替わりながら、
「そういえば、ずっと変な夢を見ていた気がするんだけど」
「別の人の人生の夢?」©2016「君の名は。」製作委員会
というセリフ。
と、同時に
作画監督 安藤雅司『千と千尋の神隠し』『思い出のマーニー』
キャラクターデザイン 田中将賀『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』『心が叫びたがってるんだ。』
というテロップ。
先ず、何といっても、新海誠監督のメジャー感を引き出した功績として、
縁の下の力持ち役が川村元気プロデューサーだとすれば、
表層部の実際に我々が“見聞き”する部分、音楽のRADWIMPSと、
キャラクターデザインの田中将賀氏の存在は極めて大きいと言える。
この「予告」には万人に受ける曲調と絵柄から、「君の名は。」の内包するメジャー性というポテンシャルが溢れ出ている。
もう少し、「君の名は。」の絵柄について掘り下げてみよう。
通常、絵柄には流行り廃りがあり、一時代を築く絵柄でも爆発的に流行る絵柄は時代と共に陳腐化してしまうケースが多い。
田中将賀氏のキャラクターデザインは非常にキャッチーで“華”があり、今の時代に“需要の多い絵柄”であると同時に、
ジブリ作品の絵柄のような“普遍性”も兼ね備えている、ある意味最強、アニメーションの絵柄としては一つの頂点、完成形だとも言える。
この最強のキャラクターデザインをジブリ経験者の作画監督 安藤雅司氏がアニメとして動かしやすいように絵柄を解釈し直し、現場の設定画は安藤雅司氏が手掛ける事で面白い化学反応が起きたと言える。
日常のリアリティある芝居、男女の心と身体が入れ替わった難しい芝居も、安藤雅司氏ならではの繊細な演出が画に説得力を与えている。
因みに、映画本編のオープニングの作画監督は田中将賀氏が担当し、本編のキャラクターとは動かし方が全然違って(本編との動きに違和感が出過ぎないように安藤雅司氏の動かし方を意識はしている)新たな発見があるだろう。
田中将賀氏全開の“キャラの動き”を見たい場合は、これも新海誠監督とのタッグで作画監督を田中将賀氏が担当した『Z会「クロスロード」120秒Ver.』が参考になる。
この『Z会「クロスロード」120秒Ver.』で描かれる男女の距離感や、別々の場所で暮らしているが、どこかで何かが“繋がっている”感じが「君の名は。」の着想元の一つとなっている。
閑話休題、そろそろ予告編、第2ブロックの構造に戻るとする。
出会うことのない二人の出逢い。
という「君の名は。」の“本質”のテーマがテロップで提示され、
素早く瀧と三葉のカットが交互に切り替わり、
「これって」
「これってもしかして」
「俺たちは夢の中で」
「『入れ替わってる!?』」©2016「君の名は。」製作委員会
というセリフで畳みかけて
動き出した、奇跡の物語。
というテロップ。
ここまでが第2ブロックなのだが、「君の名は。」の陽の部分、コミカルな部分、男女の入れ替わりの“楽し気”な雰囲気が余すことなく全面的に表現されており、
“夢の中での入れ替わり”という最重要キーワードが瀧、三葉、両名のセリフで提示される。
「君の名は。」という作品の“2大発明”の内の1つが
“夢の中での入れ替わり”なのだが、これについては本編考察で言及したい。
第3ブロック:君の名は?
ここから RADWIMPSの「前前前世 (movie ver.)」は“サビ”に入る。
音楽 RADWIMPS
のテロップと共に三葉と瀧が走り出す。
クレーターの大地、「災害対策基本法により立入禁止」の立て看板、隕石など、意味深で不穏なカットが素早く切り替わり、
「確かな事が1つだけある」
「私たちは会えば絶対すぐにわかる!」
「言おうと思ったんだお前が世界のどこにいても必ず会いに行くって」©2016「君の名は。」製作委員会
という中二病を存分に発揮した“パワーワード”で最高潮に盛り上げ、
鏡越しに涙を流している三葉のカットに切り替わると
「あなたは誰?」
「お前は誰だ?」©2016「君の名は。」製作委員会
というサスペンス要素を最後に残して
タイトル、クレジットで〆。
ここまでが第3ブロックだが、第一弾の「予告」では本編の“ログラインB”要素は仄めかす程度に抑えており、基本的には“ログラインA”要素を全面的に押し出した内容となっている。
第二弾「予告2」5ブロック詳細考察
続いて、「君の名は。」予告編の第二弾「予告2」の構造を見ていくとしよう。
第二弾の「予告2」では大きく5ブロックの構成となっており、
ログラインA寄りだった第一弾とは異なり、ログラインB要素を全面的に押し出した内容となっている。
第1ブロック:「ずっと何かを探している」
彗星シーンを流しながら
「ずっと何かを探している」
©2016「君の名は。」製作委員会
という、意味深なセリフからの、
タイトル。
ここまでが、第1ブロックである。
第1ブロックは“アバンタイトル”を利用してキーポイントである彗星シーンを提示。
第一弾の「予告」の幻想的な彗星シーンと比較すると、「予告2」では、彗星シーンというより、むしろ隕石に近い印象になっている。(「予告」でも同一シーンは存在するのだが、その後の幻想的な彗星シーン挿入で隕石的な印象を上書きしている)
第2ブロック:瀧と三葉の入れ替わりの日々
タイトル表示後、RADWIMPSの「前前前世 (movie ver.)」が流れ、直ぐに都内シーンに切り替わり、
都心に住む少年 瀧
というテロップと共に瀧紹介。
田舎シーンでは、
田舎で暮らす少女 三葉
というテロップと共に三葉紹介。
どちらも“起床シーン”から始まる。
これは本作のテーマが“夢の中での入れ替わり”だからである。
カットが切り替わり、自分の所持品であるノートやスマホに残る“自分ではない者“の痕跡を察知し、
「これってもしかして」
「俺たちは夢の中で」
「『入れ替わってる!?』」©2016「君の名は。」製作委員会
心と身体が入れ替わった二人―
というテロップと共に上空を舞う2羽のトンビ。
『君の名は。』では瀧と三葉の二人の状態を、“トンビ”や“月の満ち欠け”で比喩的に表現している。
「男子の視線、スカート注意」
「てめぇ、三葉、俺の人間関係変えるなよ」©2016「君の名は。」製作委員会
というセリフと共に、
出会うはずのなかった、二人の、
入れ替わりの日々―
というテロップ。
そして、
「『あの女(男)はぁー』」
©2016「君の名は。」製作委員会
ここまでが第2ブロックである。
「予告2」では第1ブロック、第2ブロックを使って、かなり駆け足でログラインAの紹介を済ませている。
第3ブロック:夢?夢じゃなかった
鈴の音からの暗転、
「あんた今、夢を見とるな」
©2016「君の名は。」製作委員会
という、老婆(一葉)のセリフと共に
三葉の髪から組紐が解かれ、誰かに手渡すシーンから、
突如、涙を流しながら目覚める瀧のカットへ。
暗転後、
「おかけになった電話は…」と欠番トーキー(自動音声ガイダンス)が流れ、
不気味な闇夜に浮かぶ“上弦の月”をバックに
見ていたはずの夢
というテロップ。
「俺は何を」
「このままだと今夜、みんな死ぬ」
「おねえちゃん、変やよ」
「どう思います、あいつの話」
「違う、夢じゃ、なかった」
©2016「君の名は。」製作委員会
というセリフたちが本編のログラインB進行のカットと共に切り替わり、
それは、星の降った日の奇跡の物語
というテロップと共に第3ブロック終了。
第3ブロックから“ログラインB要素”をチラ見せし始めるが、セリフを繋いでも“意味が通らない”ところがポイント
第4ブロック:君の名は?
断熱圧縮により、火の玉と化した隕石と共にRADWIMPSの「スパークル (movie ver.)」が流れる。
ログラインAを象徴する曲が「前前前世 (movie ver.)」であるならば、
ログラインBを象徴する曲は「スパークル (movie ver.)」であろう。
「夢は目覚めれば、いつか消える」
「好きだったんだぁ、私」
©2016「君の名は。」製作委員会
この辺の一葉と奥寺先輩のセリフは構成上の必要性よりも、キャスト紹介優先(市原悦子氏・長澤まさみ氏)感はある。
「お前はあの時」
「私、あの時」「大丈夫、まだきっと間に合う」
©2016「君の名は。」製作委員会
瀧と三葉の走るカットと共にセリフを言いながら
まだ会ったことのない君を、探している。
というテロップ。
そして爆破シーンからの
「三葉ぁぁぁああああああ!!!!!」
©2016「君の名は。」製作委員会
“走る” “叫ぶ” “爆破”の、
“予告3大要素”を駆使して煽りまくる。
「あの人の名前が思い出せんの」
「これはおまえが始めたことや」「言おうと思ったんだお前が世界のどこにいても必ず会いに行くって」
©2016「君の名は。」製作委員会
この辺のセリフのチョイスは“意味”よりも“音階”で見るべきであろう。
そして、
「あの人は誰?」
「忘れたくない人」
「忘れたくなかった人」
「忘れちゃダメな人」
「君の名前は」
「名前はぁぁあ!!」
©2016「君の名は。」製作委員会
ここは畳みかけるようにセリフの掛け合いで繋げ、“声の抑揚”にも非常に“感情”がこもっている為、視聴者側もつられて大きく感情が揺さぶられる。
予告編の構成としてもここで盛り上がりがピークに達する。
第4ブロックはここまでである。
余談だが、筆者が映画館での鑑賞を決意したのも、「予告2」でこのシーンを視聴したのが決め手であった。
第5ブロック:幻想的な彗星シーン
第4ブロックでのラスト、三葉の瞳の中で“ティアマト彗星”が割れる様子が描写されている。
このシーンを作中キャラクターがどう捉えるかで、どちらのログライン要素なのかが判明する。
第5ブロックでは、
「それは夢の景色のように」
「ただひたすらに」
「『美しい眺めだった』」©2016「君の名は。」製作委員会
というセリフで、彗星シーンを“世紀の天体ショー”として捉えている為、このブロックはログラインAだと言える。
ここまでが第5ブロックである。
第二弾の「予告2」では本編の“ログラインB”要素をかなり大胆に露出してきている。
詳しくは総括の方で述べるが、映画本編視聴後だと「予告2」の意味内容を類推できるが、
初見ではセリフ、テロップ、映像の配列が“暗号化”されており、頭に残るのは“感情”のみとなっている。
総括
プロットをブロックに分割して詳細に考察することで、より鮮明に見えてくるものがある。
第一弾の「予告」は非常に構成がしっかりしており、映画本編の内容を“ログラインA”を中心軸に、そのまま予告用に“凝縮”したような構造となっている。
これは『君の名は。』のログラインAが持つ、コミカルで楽しい雰囲気、エンターテインメントの王道感、新海誠監督のメジャー面を“ありのまま”伝えるのが、最も合理的だったからである。
ただ、もし『君の名は。』のプロットがログラインAだけだったならば、ここまでの“大ヒット”にはならなかったであろう。
やはり、『君の名は。』を“10年に1本”の“大傑作”にまで昇華させたのは“ログラインB”の存在が大きい。
しかし、予告編でログラインBを見せすぎると“ネタバレ”して面白さが半減してしまう。
ネタバレせずに、いかにして“見せずに見せる”か?
第二弾の「予告2」の構成は、かなり変則的でトリッキーな構造となっており、ログラインB寄りの内容を踏襲しているが、情報が断片的に散らかっており、構造としては不安定である。
どういう事かというと、「予告2」視聴後、物語としての意味内容は一切頭に入って来ないのである。
これはかなりの高等テクニックだと言える。
『君の名は。』にはログラインBに“大どんでん返し”が仕込まれており、本作最大のカタルシスを味わえる箇所でもある。
大どんでん返しを成立させる為には“ミスリードの積み重ね”と、“伏線”が必要だが、
「予告2」ではあえてプロットの構造を変則的にすることで、
“見えているのに見えていない”状態に持って行っている。
第一弾の「予告」が映画本編のダイジェストだとすれば、
第二弾の「予告2」は極論を言えば映画本編とは“別物”だと言えよう。
本来であれば、107分かけて到達するカタルシスの、“いいとこ取り”をして、“目隠し”した状態で、更に“予告用の味付け”までして味見させてくれるのが「予告2」の実体である。
映画本編とは別物だが、“揺さぶられる感情”の旋律は“同一”なのが“肝”である。
このプロモーションの仕掛け人である弭間友子氏は語る、
予告編って、「面白そう」と興味を持ってもらうことが一番大事で、作品で伝えたいことは本編で伝えればいいんですよね。
で、あると。
今回の考察はこの辺で終わりにしたいと思う。
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当センターで特集している作品は、考察前提の作品群のため、何度も繰り返し視聴(予習・復習)した方が、より深淵の“本質”まで味わい尽くすことができる。
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